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スタートアップ企業はメディアとどう付き合う? TechCrunch副編集長が語る「注目の領域」と「記事化のテクニック」

6月29日(木)、Fukuoka Growth Nextでスタートアップセミナー「TechCrunch副編集長が語るスタートアップとメディア」を開催しました。
ご登壇いただいた岩本有平氏は、月刊誌の編集に携わったのち、2005年にシーネットネットワークスジャパン(現:朝日インタラクティブ)に入社した編集・記者で、2014年3月から、オンラインメディア「TechCrunch Japan」での執筆をスタート。2016年11月に副編集長に就任されています。今回は、メディアの視点で「注目の領域」と「記事化のテクニック」についてお話しいただきました。

注目する“5領域のスタートアップ”

岩本氏が注目している領域は「VR、AR、MR」「FinTech」「動画、ライブコマース」「チャットフィクション」「音声×AI」の5つ。なかでも岩本氏が「今日はこれを覚えて帰ってほしい」と語ったのがアメリカでスタートしたスマホ版ケータイ小説アプリ「チャットフィクション」です。
画面をタップすれば登場人物2人の会話が進み、日ごろ使い慣れた「メッセンジャーツール」のチャットのようにストーリーが展開していきます。海外ではティーンエイジャーを中心にユーザーを拡大。日本でも複数のスタートアップがサービスを準備中だといいます。マネタイズは海外同様、1カ月定額の読み放題コースが最初に設定されるだろうとのことです。

すでに新サービスもスタート

「VR、AR、MR」は「ビジネスとして今後発展性が見込める領域」とし、VRに特化した体験施設やMRを使ったお化け屋敷がオープンするニュースについて触れました。また、ファンが急速に増えている料理動画、インフルエンサーが商品を紹介し購買につなげるライブコマース、音声と連動したAIも引き続き話題性があると岩本氏はみています。
「FinTech」ではタクシーの決済をはじめ、店舗と個人や個人間の支払いを可能にした決済サービス・アプリが発表されているそうです。さらに、株式のように自分の「価値」を取引できるアプリ「VALU(バリュー)」、写真を撮って送ったら査定をしてくれる質屋アプリ「CASH」などユニークなサービスもスタートし、岩本氏は「スタートアップらしい取り組み」だと評していました。

福岡の企業がメディアに露出するには?

では、実際に福岡でプロダクトをリリースし、メディアに記事を書いてもらうにはどうすればいいのか。メディアとの付き合い方について「広告と広報の違い」「スタートアップがPRする意味」「PRすべきタイミング」「メディアが求めているもの」の4点をポイントに話は展開されました。
なかでも、PRに欠かせないプレスリリースは内容とタイミングが肝心で、「話題性」「プロダクトの発売までのストーリー」などがメディアの担当者に注目された結果、記事になることも少なくないと言います。一方で新聞、ビジネス誌、ウェブメディアといったメディアごとに特性が違うので、そのメディアがどんな情報を伝えたいのか、担当者レベルで意識するのも重要だといいます。また、プレスリリースを発表当日に送るだけではなく、早い時期からコミュニケーションをとることが、プロダクトの理解にも繋がるとのことです。

PRすることで何が得られるのか

効果的なプレスリリースメールの書き方や配信のタイミング、ツイッターやフェイスブックなどのSNSの活用といった実務的な話に加え、岩本氏は「PRする意義」についても言及しました。
露出をしなくてもビジネスとして成功するならそれでいい、という意見も挙げつつ、「プロダクトや会社の認知度が高まれば資金調達につながり、ひいては優秀な人材獲得にも影響する。すぐに外注するのでなく、創業期は兼業でもいいので社長やスタッフが広報を担当すれば、コストダウンしつつ広報のノウハウも蓄積できる」という一方で、「ただし、まずはプロダクトありき。そしてPRは自分たちが主体となり、メディアに露出する内容・タイミングをコントロールしましょう」とのこと。このバランス感覚が大事なんだと、周りの参加者のみなさんもうなずいていました。

経営者としての情報収集とは?

プレスリリースを送りプロダクトをリリースした後の、ウイルス感染や個人情報流出といったハザード対策についても話が及びます。どのような対応をすべきなのか、どういう社内の連絡経路を持つべきかを過去の事例に基づいて解説。また、説明する方法によっては失敗が消費者にポジティブに受け止められる例も紹介されました。博多駅前で起こった陥没事故の際の高島福岡市長の情報発信もその好例だと話題にしていました。
質疑応答で「経営者としての情報収集はどうするべきか」という質問をされた岩本氏は「インターネットに出ているのは過去の情報のみ。情報感度の高い人たちのコミュニティに入っていくべき」と回答。TechCrunchでも実際に自分の足でニュースを探していることを教えてくれました。

「メディアに掲載される価値、掲載されるための方法」について展開したセミナーでしたが、とても勉強になるお話ばかりで90分間が本当にあっという間。「スタートアップとメディアが対等な関係を築いてほしい」という言葉がとても印象的でした。