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Fukuoka Growth Next Camp「行動力とファイナンス」(前半)

11月1日(木)、Fukuoka Growth Next で、スタートアップに興味のある方から、資金調達で悩みを抱えている起業家、VCの皆様まで幅広い方を対象に「行動力とファイナンス」をテーマとしたイベントを開催しました。ご登壇者による具体的な事例や体験をふまえた5つのセッション形式で、資金調達へのアプローチや課題について考えます。

資金調達における課題と行動力

最初は、資金調達を考えているスタートアップが、様々なステージで資金調達をすでに実施している先輩スタートアップと、具体的な悩みや課題について考えるセッション。資金調達に対するアクションのヒントが見えてきました。

<登壇者紹介>
1. AUTHENTIC JAPAN株式会社 代表取締役 久我 一総 氏
2. 株式会社グッドラックスリー 代表取締役社長 井上 和久 氏
3. Shimon Inc. 取締役CSO 中村 亮太郎 氏
4. Kids Code Club代表 石川 麻衣子 氏

まず、はじめに語られたのは、スタートアップの基本的な調達スタイルについて。すでにマーケットがあるスモールビジネスとは違い、スタートアップはイノベーションでマーケットを開拓するところから始まる独自のスタイルなので、プロダクトやマーケットが見えるまではエクイティファイナンスで、見えてからはデットファイナンスで調達するなど、時期や状況によって調達方法も変えていく必要があるのだそうです。また、VC/エンジェル/CVC/金融機関/トークンセールスと、あらゆる手段を使って相乗効果をねらうのもスタートアップらしいやり方とのこと。

セッションの中で特に印象深かったのは、井上氏が紹介した孫正義氏からの “「夢」は個人の願望であり、「志」はみんなの夢をかなえようとする気概である” というメッセージ。イノベーションで世界を変えるプロダクトやサービスを作るために資金調達をする、という姿勢、限界まで「志」を貫く覚悟がスタートアップには不可欠であると語りました。

また、井上氏が自分に合う調達手段を見つける時に実行していたのはエクセルで投資家リストを作ること。「アタック数×確率×金額=調達額」というシンプルな数式のもと、地道なVC開拓の努力を積み重ねて来られました。オプションを可視化・リスト化することが問題解決の鍵になるようです。


ほかに、VCの選び方として、事業計画書やプロダクト、すでにマーケットがあるか、といった部分だけを重視するところもあるので、自社のビジョンや課題、マーケットなどの可能性を見て、一緒に考えてくれるVCをじっくりと見つけることが大切という意見もあげられました。

最後に、これからスタートアップを考える方に向けて、「資金調達」「事業計画」「VCとの相性」「何を語るか」の4つを準備し、自分の強みやスタンスを明確にして臨むことが大切、というメッセージが送られました。

正解なきスタートアップ成功への道。その秘訣は明確な意思やスタンスと、それ踏まえた行動力にあるようです。登壇者の方々の熱心なお話に、このあとの交流会も盛り上がりをみせました。

アクセラレーションプログラムがもたらす成果

2番目のセッションでは、アクセラレーションプログラムの主催者と、プログラムに参加したスタートアップにご登壇いただき、アクセラレーションプログラムの価値や成果を双方の視点でお話いただきました。

<登壇者紹介>
1. デロイトトーマツベンチャーサポート株式会社 事業統括本部 関西地区リーダー 権 基哲 氏
2. 株式会社だんきち代表取締役 CEO 与島 大樹 氏
3. 株式会社ウィファブリック 代表取締役 CEO 福屋 剛 氏

アクセラレーションプログラムは、短期間に支援者やメンターがスタートアップに対し、集中的に企業価値を上げるための支援。いわば強化合宿のようなものです。今回プログラムの例として挙げられたのは、大阪市主催の「OSAP」。受託事業、新規事業、第二創業を幅広くカバーしています。100人ほどのメンターが揃い、フィードバック、インプット、事業戦略、実行計画、アクセラレーターとの調達・事業連携をしています。ほかに紹介されたのはNTTドコモ・ベンチャーズ。ドコモのブランド力とネットワークを強みに、ベンチャーをトータルサポートしています。

与島氏が語るプログラムに参加する一番のメリットとは「投資家コミュニティに入り込むチケットが買える」こと。周りのメンバーの意見や、市場を知る有名なメンターからのフィードバックがとても役立つとのことです。

1社ごとに事業シナジーやモデルをまとめるなど、時間がかかるので事務負担を減らしてほしい、などの要望もあがりましたが、効率の良い人脈作りなどプログラムへの参加には、メリットがたくさんあるようです。

アクセラレーションプログラムのコンテンツは、実際にスタートアップと協業したい大企業との交流会や、資本政策の勉強会など、かなり実践的な内容になっているようです。セッションの最後は「福岡からもぜひOSAPに参加してほしい!」という権氏のコメントでしめくくられました。

バンク系VCからの資金調達と販路拡大

3番目は、出資するVCと調達するスタートアップ双方の実体験を元に、デッドファイナンスとエクイティファイナンスの選択肢や、メリット・デメリット、その後のフォローなどについて伝えるセッション。

<登壇者紹介>
1. 株式会社FFGベンチャービジネスパートナーズ 佐々木 彩 氏
2. 株式会社ドーガン・ベータ ファンドマネージャー 津野 省吾 氏
3. 株式会社ユニマル 代表取締役CEO今熊 真也 氏

バンク系VCが運用するファンドにはアップサイドを狙った純粋なベンチャーファンドと地方創生ファンド(地元ベンチャー・成長期待のある中小企業)の2種類があるそうです。ベンチャー企業にとって、バンク系の一番の強みは銀行の顧客がポテンシャルユーザーであること。VC側から見ても、銀行のリソースを活用し、スタートアップを成長させ、将来的には取引先に還元することがメリットとなるようです。

今熊氏を昔助けてくれたバンク系VCキャピタリストは、同席する宮崎太陽キャピタル時代の津野氏(!)。資金繰りの厳しいときに宮崎太陽銀行の担当者を紹介、融資を受けることができました。今熊氏にとって津野氏は、投資の相談だけでなく、心理的、物理的にとても近い存在だったそうです。

一方で、銀行の上層部が完全な「PL思考」で、事業計画を重視してくれないというケースもあるので、熱意を持って一緒に作り上げていく姿勢を持つVCを慎重に選ぶべきという意見もでました。独立系VCに比べてバンク系は組織上、意思決定に時間がかかるので、スキームの簡素化が課題となっているようです。

最後に、VCが応援したいスタートアップ像は、地方ならではの課題解決に取り組んでいる企業があげられました。慢性的な人手不足など、業界の底辺を解決できる事業には注目していきたいとのこと。九州でプロトタイプを作り、拡大したいという思いも語られました。

登壇者全員が九州出身ということもあり、九州からスタートアップを盛り上げたい!という熱気あるセッションとなりました。

後半のセッションレポートはこちらをご覧ください。